ビール泡品質向上への一貫した取組み
サッポロの泡へのこだわり
黄金の液色に白い泡、その2色のコントラストがビールならではの美しさを演出します。泡はビールの酸化やガスの揮散を防ぐだけでなく、その白くきめ細やかな性状のためビールのおいしさを視覚から伝える重要な手段です。泡に関する研究は国内外のビール会社にとって古くから、そして今もなお盛んに取組まれている分野です。
当社の泡品質に関する研究開発の成果は、国内外における多数の学会発表、学術論文掲載実績があり、農芸化学技術賞、日本育種学会賞、日本育種学会奨励賞、European Brewery Convention Best Paper賞などを受賞し、国内外で高く評価されています。
泡品質を整える、4つのポイント
1.大麦育種
「泡品質の良いビールを作る」ことを目指して原料となる大麦の育種(品種開発)を行っています。泡品質に関与する大麦由来の脂質酸化物やタンパク質を詳細に解析し、それらと大麦の遺伝子との関連を研究しています。こられ一連の基礎的研究の成果を活用して特別に選抜された大麦を新品種として育て上げ、世界の大麦主要生産地への普及、拡大に努めています。
2.醸造工程での工夫
発酵工程で酵母が産出するタンパク質分解酵素は泡品質に悪影響を及ぼします。このタンパク質分解酵素を産出しにくい酵母株の確認・選定や、発酵、貯酒工程の工夫を行い、製品中のタンパク質分解酵素活性の低減を実現しました。発酵工程だけでなく、仕込工程、ろ過工程においても泡品質を良くするための技術を採用しています。
3.カラン
飲食店で提供する生ビールはビールの泡が実感できる格別なシーンです。このため、生ビールを樽から注出するビールサーバーの性能は重要です。当社では泡付け機能を進化させたサーバーを開発しました。泡付けノズルを液面と平行にすることで泡付け時のビール液面の“もまれ”がなくなり、ガスの揮散を防ぎ、粒径の細かい泡をより長く維持させることが可能となりました。
4.泡の色
最新の研究では泡の色に着目した研究があります。ビールの泡は不安定かつ立体的であるため泡の色を数値化することは困難でしたが、人間が見える色をすべて忠実に測れる画期的なカメラを用いて、泡の色を定量化する技術を開発し、より魅力的な泡を生み出すビールの開発を行っています。
本成果は、「ビール泡品質向上への一貫した取組み」(サッポロビール株式会社)として、公益社団法人日本農芸化学会の2015年度農芸化学技術賞を受賞しました。
担当研究者からのひとこと
サッポロビール 価値創造フロンティア研究所
浅井 梓
所属は、2020年3月時点のものです。
「ビールの泡」はビールを新鮮に保つために重要なだけでなく、お客様においしさを想起させるため、見た目の美しさは非常に重要な要素です。また、泡品質は当社が古くから力を注いで研究してきた分野でもあります。もとより、きめ細やかでクリーミーな泡という特徴を持つ「サッポロ生ビール黒ラベル」ですが、「泡の色の測定」という新たな技術を開発することで、さらに白く美しい泡に進化しました。今後も泡の新たな可能性を広げ、お客様においしいビールを届けるために、技術開発に励んでいきたいと思います。
おすすめリンク