適正飲酒のすすめ
体に負担のかからない飲み方を考えよう
「適量」とは
適量には個人差があり、また同じ人であってもその日の状態によって酔い具合が異なるため、一概にいうことはできません。厚生労働省の「飲酒ガイドライン」には、「生活習慣病のリスクを高める量は1日当たりの純アルコール摂取量が男性 40g以上、女性 20g以上」であるとされています。また、1回の飲酒機会で純アルコール摂取量60g以上の「一時多量飲酒」は、外傷の危険性も高めるものであり、避けるべきとされています。
(お酒に含まれる純アルコール量の算出式)
摂取量(ml)× アルコール濃度(度数/100)× 0.8(アルコールの比重)
例: ビール 500ml(5%)の場合の純アルコール量
500(ml)× 0.05 × 0.8 = 20(g)
酒類別のアルコール約20gを含む量
週に2日は休肝日を
適量とはいえ、毎日飲むことは肝臓に負担をかけてしまいます。週に2日はお酒を飲まない日を設けて、肝臓を休ませるようにしたいものです。
しかし、休ませたからといって、ほかの日に多量飲酒をしてしまっては元も子もありません。普段から適量の飲酒を心がけましょう。
お酒は薬ではありません
寝酒はナイト・キャップともいわれ、睡眠薬代わりに使われることがありますが、むしろ眠りが浅くなって夜中に目を覚ましたり翌朝早くに目が覚めてしまうなど、睡眠の質が落ちることがわかっています。お酒は、寝る前ではなく夕食時(眠りにつく3時間前までに飲み終えることが望ましい)に、食事といっしょに楽しむのが良いでしょう。
「飲酒ガイドライン」における健康に配慮した飲酒
厚生労働省が2024年に作成した「健康に配慮した飲酒に関するガイドライン(飲酒ガイドライン)」によると、アルコールのリスクを理解した上で、純アルコール量に着目しながら、自分に合った飲酒量を決めて、健康に配慮した飲酒を心がけることが大切であるとされています。
また、以下のようなことに留意する必要があるとしています。
- 女性は男性よりもアルコールによる影響を受けやすい
- 飲酒で顔面紅潮を来す等アルコール代謝能力の低い人では、通常の代謝能力を有する人よりもアルコールによるリスクが高くなる
- 高齢者は、若い時と比べて、体内の水分量の減少等で同じ量のアルコールでも酔いやすくなる
- 飲酒する習慣がない人に対して無理に飲酒を勧めることは避けるべきである
- 飲酒前または飲酒中に食事をとることは、血中のアルコール濃度を上がりにくくし、お酒に酔いにくくする効果がある
- 飲酒の合間に水や炭酸水を飲むことやお酒に水などを混ぜてアルコール濃度を下げることで、アルコールがゆっくり分解・吸収できるようになる
適正飲酒の10か条
公益社団法人アルコール健康医学協会では、お酒の適正な飲み方やマナーを周知することを目的として、「適正飲酒の10か条」(平成20年5月改訂)を定めています。
- 談笑し 楽しく飲むのが基本です
- 食べながら 適量範囲でゆっくりと
- 強い酒 薄めて飲むのがオススメです
- つくろうよ 週に二日は休肝日
- やめようよ きりなく長い飲み続け
- 許さない 他人への無理強い・イッキ飲み
- アルコール 薬と一緒は危険です
- 飲まないで 妊娠中と授乳期は
- 飲酒後の運動・入浴 要注意
- 肝臓など 定期検査を忘れずに
しない させない 許さない 20歳未満飲酒・飲酒運転
出典: 公益社団法人アルコール健康医学協会
入浴・運動と飲酒
飲酒後の入浴や運動は危険
飲酒後すぐに入浴や運動をすることは体にとって良くありません。たくさん汗をかいた分だけアルコールが汗として排出されるわけではなく、逆に脱水症状を引き起こす可能性があります。サウナに入ることや入浴も、心臓に負担がかかりますし、血圧も急に高まるので危険です。酔った状態での運動も、注意力が低下しているため怪我のもとになりますのでやめましょう。
入浴中や運動直後の飲酒も良くない
入浴中や激しい運動直後の飲酒もやめましょう。心拍数が上がっている状態だと酔いが早くまわることが考えられますし、心臓にも負担がかかります。さらに、激しい運動直後の飲酒は、筋肉の疲労回復が遅れる可能性があります。
POINT
- 飲酒後の入浴や運動は心臓に負担をかけたり怪我をしやすくなるので危険
- 入浴中や激しい運動直後の飲酒も、酔いが早くまわったり、運動後の筋肉の疲労回復が遅れるため控える