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酔いの仕組みと
アルコール代謝

酔うってどういうこと?

酔うってどういうこと?

楽しくお酒が飲めるのは「ほろ酔い期」まで

「酔い」の仕組み

血液に溶け込んで脳に運ばれたアルコールによって脳が麻痺することが「酔う」ということです。どのくらい酔っているのか、その程度は脳内のアルコール濃度によって決まります。しかし実際には脳内のアルコール濃度は測れないので、血液中のアルコール濃度を測って判定します。

酔いの状態はアルコール血中濃度によって6段階に分けられています(下表参照)。楽しくお酒を飲めるのは「ほろ酔い期」の段階までです。大脳の働きが抑えられることによって、本能や感情をつかさどる部分の働きが活発になり、解放感を感じたり、陽気になったりするのです。しかし、アルコールの量が増えるのにしたがって酔いが進み、脳の麻痺も進みます。「酩酊(めいてい)初期」「酩酊期」になると知覚や運動能力が鈍り、繰り返し同じ話をしたり千鳥足になったりします。さらに飲酒が進み、「昏睡期」になると、麻痺は脳全体に及び、呼吸困難に陥り、最悪の場合には死に至る危険性もあります。

なお、酔いの進み方には個人差があります。自分にとっての酔いの状態を知っておくことも大切です。

アルコール血中濃度は、実験的に得られた次の簡易式で求められます。

アルコール血中濃度の計算式(目安)

アルコール血中濃度の計算式(目安)

アルコール血中濃度と酔いの状態

アルコール血中濃度と酔いの状態
  • お酒が楽しく健康的に飲めるのは、アルコール血中濃度0.1%程度まで
  • 酔いの進み方には個人差があるため、自分にとっての酔いの状態を把握しておくことが大切
アルコール代謝の仕組み

アルコール代謝の仕組み

アルコールを分解するのは肝臓の役割

アルコールが分解される仕組み

お酒の主たる成分はアルコールと水です。お酒を飲むと「酔った」状態になりますが、このとき体や脳に影響を与えているのはアルコール(エタノール)です。お酒を飲むと、アルコールは血液に溶け込んで肝臓に運ばれ、処理されます。肝臓が処理できるアルコールの量には個人差がありますが、体重60~70kgの人で、1時間に5~9gくらいです(久里浜アルコール症センターの実験による)。

アルコール代謝の経路

アルコール代謝の経路

酔いからさめるのにかかる時間

下図は、お酒に強い中年男性がビール350ml缶を1、2本飲んだ場合の、血中アルコール濃度の変化を示したグラフです。アルコールが体内に入ってから30分後に血中アルコール濃度はピークを迎え、ビール350ml缶1本に含まれるアルコールが完全に抜けるまでには約2~3時間かかることがわかります。しかし、代謝時間には個人差があるため、何時間経過すれば必ずアルコールが抜ける、ということは一概にはいえません。

血中アルコール濃度の変化

出典:「Alcohol Alert」 National Institute on Alcohol Abuse and Alcoholism

出典:「Alcohol Alert」 National Institute on Alcohol Abuse and Alcoholism

  • お酒が楽しく健康的に飲めるのは、アルコール血中濃度0.1%程度まで
  • 酔いの進み方には個人差があるため、自分にとっての酔いの状態を把握しておくことが大切
お酒に強い人、弱い人

お酒に強い人、弱い人

体質によってお酒の強さには個人差がある

お酒に弱いモンゴロイド

アルコールは肝臓の働きでアセトアルデヒドに変わります。さらに、アセトアルデヒドはALDH2という酵素の働きで無害な酢酸に変わります。このALDH2には3つの型があり、酵素の活性が強い人と弱い人、そして活性がまったくない人がいます。お酒に強い人はアセトアルデヒドの代謝速度が速い活性型を持ち、逆に代謝速度の遅い低活性型や酵素活性がまったくない非活性型を持つ人はお酒に弱いタイプです。自分がどの型を持っているかは親から受け継ぐ遺伝子の組み合わせによって決定され、後天的に変わることはありません。

日本人の37~38%は低活性型、6~7%は非活性型であるといわれ、日本人が欧米人に比べてお酒に弱いといわれるのにはこのことが関係しています。また、非活性型はモンゴロイド(黄色人種)にのみみられる特徴で、コーカソイド(白人)やネグロイド(黒人)には低・非活性型はいないのです。

ALDH2 の低活性型、非活性型の人の割合

ALDH2 の低活性型、非活性型の人の割合

出典: Harada, S.: Genetic polymorphism of alcohol Metabolizing enzymes and
its Implication to human Ecology. J. Anthrop. Soc. Nippon, 99: 123-139, 1991.

エタノール・パッチテスト

エタノール・パッチテストによって自分の体質を理解し、適量を知ることも大切です

方法
  1. テープに少量のガーゼを貼り、ガーゼを消毒用アルコール(70%エタノール)で湿らせる
  2. 上腕の内側などの皮膚が柔らかいところに貼る
  3. 5分経ったらテープをはがす
  4. テープをはがしてから20秒後と5分後に皮膚の反応をみる
判定

20秒後に貼った部分が赤くなっていれば「ALDH2活性がまったくない人」、20秒後には変化がなくても5分後に赤くなっていれば「ALDH2活性が弱い人」という目安になります(皮膚が赤くなるのは、悪酔いの原因となるアセトアルデヒドができているという判断による)

注意
  • 安静時に行う(運動直後は避ける)
  • エタノールを布の外にはみ出させない
  • 貼った方の手を締め付けない
  • テープの上を押さえない
  • お酒を飲んでいない状態で行う

考案者: 久里浜アルコール症センター 樋口 進

個人差の要因はさまざま

遺伝のほかに、体内の水分量や体重の差による個人差もあります。以下のように、男女差、年齢差、体格の差などによって、お酒に強い体質の人でもかなりの差が生じることがわかっています。

男女差…女性は一般的に、男性よりもお酒に弱いと考えられます。体内の水分量が男性よりも少ないことや、体格や肝臓が男性より小さいことによると考えられます。
年齢差…高齢者は若者に比べて体内の水分量が少ないため、お酒に弱いと考えられます。
体格の差…体格の良い人の方が一般的に肝臓も大きいため、代謝速度が速く、お酒に強いと考えられます。また、アルコールは脂肪に溶けにくいので、体脂肪率の高い人は低い人より体に占める水分の割合が低くなり、血中アルコール濃度が高くなると考えられます。

  • 日本人の37~38%は遺伝的にお酒に弱い体質、6~7%の人は、遺伝的にお酒をまったく飲めない体質である
  • 遺伝のほかにも、男女差や年齢差などによって、個人差が生じる
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