サステナビリティ
閉じる

気候変動への取り組み

TCFD

サッポロホールディングスは、企業における気候変動のリスクと機会に関する評価・管理、情報開示を促すTCFDの提言に賛同しており、積極的な情報開示を進めています。
気候変動対応が地球規模で取り組むべき最重要課題の一つであると認識し、「緩和」と「適応」の両面から課題解決に向け、将来発生する可能性のある事業環境をシナリオ分析により複数想定した上で、リスクと機会を洗い出し、その結果を戦略や取り組みに反映しています。

ガバナンス

サッポログループは、サッポロホールディングス代表取締役社長を委員長とする「グループサステナビリティ委員会」を「経営会議」の諮問機関として設置し(注)、グループ全体の環境保全活動を推進・統括するとともに各事業会社の環境経営の取り組みをサポートしています。
グループの環境方針や世の中の動向を踏まえたさまざまな課題を検討し、特に重要課題と位置づけている気候変動においては、温室効果ガスの排出量削減に取り組んでいます。
また、事業会社では各社の事業特性にあわせた環境保全推進体制をとっています。

(注)コーポレートガバナンスと内部統制

サッポログループのサステナビリティ推進体制(2019年12月現在)

戦略

サッポログループでは、脱炭素社会の実現に向け2019年に「サッポログループ環境ビジョン2050」を策定し、脱炭素を志向した事業構造改革、省エネ対策の徹底に加え、再生可能エネルギーの活用で地球温暖化防止に取り組んでいます。
その中で、基軸のビール事業では、1876年創業時から主原料の大麦とホップの育種を自ら行い、2006年から「協働契約栽培」という独自の原料調達システムを採用しています。今後は後述の各シナリオによる原料の収量への影響を想定し、サッポロビール原料開発研究所を拠点に国内外の大学や研究機関、サプライヤーと連携しながら新品種の開発、そして安定調達に努めていきます。副原料のトウモロコシ、コメも安定調達のためサプライヤーと連携を強化していきます。
グループ全体での徹底した脱炭素の取り組みと、ビール事業で140年以上に亘り培ってきた原料づくりの取り組みで、気候変動へ緩和と適応(※)の両面から課題解決に挑み、レジリエントな企業体を目指すとともに持続可能な社会の構築に貢献します。

※ 緩和:温室効果ガスの排出を抑制すること
適応:温暖化の影響に対して自然や人間社会のあり方を調整すること 《環境省資料より》

戦略

シナリオ分析結果

基軸のビール事業で気候変動による影響が想定されるビール原料農産物の調達地域を対象とした、シナリオ分析を実施しました。国際連合食糧農業機関(FAO)のシナリオ分析データなどを基に、異常気象などの要因を考慮して補正しており、気候変動要因、経済社会要因、生産量に関する要因がそれぞれ異なる3つのシナリオについて、2050年までの収量の変化を想定しています。

気温上昇 異常気象(台風や洪水、
干ばつ等)
農業関連動向 その他社会動向
サステナビリティ
進展シナリオ
2℃未満に抑えることが
可能
ある程度増加(-) 化学肥料などの使用に
関する規制強化(-)
人口増加、生活水準向上、食料需要増加、食料価格の一定程度上昇
サステナビリティ
標準シナリオ
2℃未満に抑えることが
不可能
頻発化や被害拡大(-) 品種改良や設備投資の
増加(+)
人口増加、生活水準向上、食料需要増加、食料価格の上昇
サステナビリティ
停滞シナリオ
2℃を大きく超える 激甚化(-) 作物の病害が多発し
農業被害が拡大(-)
食料価格高騰、貧困層の食へのアクセス困難化

+:収量にプラス影響  -:収量にマイナス影響

主要調達国の収量増減予想

サステナビリティ進展シナリオでは、化学肥料使用に規制がかかる影響等で収量にマイナス影響を与えることを想定しています。収量推計が増加基調の国では上表のマイナス要因を受けても増加や横ばいを保つ場合があります。

大麦

進展 標準 停滞
ヨーロッパ
北米
オセアニア
東アジア

ホップ

進展 標準 停滞
ヨーロッパ
北米
オセアニア
東アジア

トウモロコシ

進展 標準 停滞
北米
南米

コメ

進展 標準 停滞
東アジア
:>5%
:±5%以内
:<-5%

2050年時点の収量推計が、2018年時点の収量と比較し、増加(↑)、横ばい(→)、減少(↓)しているかを示す。

リスクと機会、対応・施策の方向性

シナリオ分析の結果によると、各シナリオで収量が減少する地域があることがわかりました。これらの影響を含めて、3つのシナリオが現実化した場合を想定し、サッポログループが直面するリスクと機会について検討を行いました。
リスクについては、異常気象による農作物の収量減少、規制強化、病虫害などによる品質低下などを認識しています。一方で機会については、品種改良による品質の安定化、新品種の開発、商品開発等による競争力の強化を認識しています。緩和策や適応策を強化することで、リスクの影響が低減され、機会を獲得できる可能性が大きくなると捉えています。
収量減少の傾向が各地域で生じますが、地域差に応じて、多角的に調達先を確保することにより対応します。また、農薬に関する規制強化、病害による収量減や品質低下には、協働契約栽培の活動や新品種の開発・実用化で対応していきます。これらは、いずれのシナリオに対しても効果を発揮する施策です。

こちらの表は横にスクロールしてご覧いただけます。
項目 リスクと機会 対応・施策の方向性
リスク 移行リスク 各国の農薬に関する規制強化
各国で進むカーボンプライシング導入によるコスト増加
農薬規制情報と農薬使用状況の把握
化学農薬に代わる生物的防除や物理的除去法等の総合的病害虫管理の情報収集と生産者動向の把握
脱炭素化取り組みの推進(2030年・2050年目標達成)
世界の人口増加等による食料需要の増大や、異常気象による生産量の減少に伴う輸出規制の強化、調達価格の上昇
新規感染症の流行等による原材料の調達停滞
多角的な調達先の確保
グローバルの食品輸出入動向・規制に関する情報収集・把握
国内生産安定化のための基盤強化
異常気象による原料の品質低下 異常気象による品質低下リスクの低い大麦・ホップ多収性品種の開発・普及
物理リスク 温暖化による病虫害の増加 病害抵抗性に優れた大麦・ホップ新品種の開発・普及
サプライヤーとの連携による総合的病害虫管理の導入に向けた病害虫防除体系の確立
異常気象による熱波や干ばつ・降雨不順による水リスクの増加、台風や集中豪雨による風害・水害等の発生頻度の増加と被害の甚大化 既存拠点の水供給の安全性と渇水及び異常気象に対するリスク評価
機会 ICT・ロボットなどを活用した生産システムの効率化、品種改良(育種)による品質の安定化、新品種の開発、商品開発等による競争力の強化 国内外のパートナーとの協働による農業の新技術の活用
干ばつや多雨等の気候変動の影響を回避・軽減する大麦・ホップ適応品種の開発・実用化

指標と目標

前項の対応・施策の中から、特にサッポログループが注力する取組みに対して、以下の通り指標と目標を設定しました。
温室効果ガスの排出抑制等による緩和策では、サッポログループとして中長期のCO2排出削減目標を設定しています。その中のバリューチェーンに関する目標では、今後の具体的取り組みの一つとして、国内の協働契約栽培地域における削減活動を新たに設定しました。農薬などの規制を勘案し、取り組みを国内栽培地域に拡げます。
気候変動の影響による被害を回避・軽減する適応策では、基軸のビール主原料農産物に関する目標を新たに設定しました。干ばつや多雨といった異常気象、それらによる水ストレスや病害など、収量減少や品質低下の要因に対応できる品種の開発・実用化を目指します。

緩和策

  • 2030年までに自社拠点からのCO2排出量を2013年比で20%削減
  • 2050年までに自社拠点からのCO2排出量ゼロを目指す
  • バリューチェーン全体のCO2排出量の削減に努める

 -2030年までに排出削減活動を国内の協働契約栽培全産地で展開

適応策

  • 2030年までに気候変動に適応するための新品種(大麦、ホップ)を登録出願
  • 2035年までに気候変動に適応するための新品種(大麦、ホップ)を国内で実用化
  • 2050年までに上記品種の他、新たな環境適応性品種を開発し、国内外で実用化

その他気候変動に関連する項目は「サステナビリティ重点課題中長期目標」において目標を設定し、グループ全体で達成に向けた取り組みを推進しています。

まだ十分に解析できていないリスクや機会、その対応策、財務インパクトなどについては、引き続き把握を努めるとともに、開示情報の拡充を進めていきます。また、社会情勢の変化により見直しも適宜実施します。

サッポログループ環境ビジョン2050

SAPPORO HOLDINGS LIMITED サステナビリティブック 2020
(140年を超える原料へのこだわりサッポロビールの挑戦)

ページトップへ戻る