財務戦略
「持続的成長と資本効率重視」をテーマに、
構造改革・事業成長による収益力強化と、
資産や事業ポートフォリオの見直しによる
資本効率の向上を進め、企業価値向上を確かなものにします。
常務取締役
松出 義忠
構造改革を断行し、成長を加速させることで、収益力強化を図り、ROE8%を実現
「中期経営計画(2023~26)」では、基本方針を「Beyond150 ~事業構造を転換し新たな成長へ~」と掲げ、財務目標・指標としては、成長を伴ったキャッシュ創出力の向上と資本コストを上回るリターンを目指し、自己資本利益率(ROE)8%、EBITDA年平均10%程度、海外売上高年平均成長率10%程度と定めました。目標達成に向けて事業ポートフォリオの整理を通じた構造改革および海外事業の成長、コア事業の収益力強化を加速させていきます。
国内酒類では商品カテゴリの再編やコストの組み換えを行い、低収益からの構造転換を図ります。また、黒ラベル、ヱビスブランドの更なる魅力化や濃いめのレモンサワー、男梅サワーなどのRTD強化、市場創造型新商品の発売による成長も実現します。海外酒類では、成長ドライバーとなる米国において、22年8月に子会社化したStone社とのシナジー創出によりサッポロブランドの更なる成長を目指します。海外飲料では、シンガポールを起点にマレーシア、中東等成長余地のある国での売上拡大を図り、成長を加速させます。外食事業では、収益基盤の一層強化と国内酒類事業とのシナジー発揮に注力することで、安定収益とブランド発信力の向上を実現します。食品飲料事業では、2024年までに抜本的な構造改革を断行することで、レモン事業への注力を進め、低収益からの脱却を図ります。不動産事業では、長期的な時間軸で、賃貸中心から総合的に資産価値向上を図る事業体に転換し、収益性と資産効率を向上させます。また、サッポロ、ヱビスというまちの名を冠する歴史あるブランドと資産のオーナーとしての強みを活かし、自治体やパートナーとの共創による一体となったまちづくりを進め、価値向上を図ります。セグメントにおける事業ポートフォリオの強化に向け、事業ごとのWACC(株主資本コストと負債コストの加重平均)をベンチマークとした、ROIC(投下資本利益率)による資本効率の管理を行います。事業ポートフォリオの整理と資産効率の向上を図り、ROEの向上に努めていきます。
財務の健全性は、現状格付けを維持することを基本とします。投資については、営業キャッシュフローとのバランスを取りながら、海外への投資を優先することで成長促進を図ると共に、サステナビリティ関連の投資も推進します。なお、M&Aなどの成長投資の機会には、現状格付を確保できる範囲で機動的に対応します。
株主還元については、適切な利益還元を経営上の重要政策と位置付けており、業績や財務状況を勘案して安定した配当を行うことを基本方針としています。配当は現状水準を下限として、連結配当性向30%以上を基本としますが、親会社の所有者に帰属する当期利益が特殊要因によって大きく変動した場合は、その影響を考慮して決定する場合があります。中長期的な利益成長を伴った配当水準の向上も目指します。2021年度は業績や財務状況を勘案して1株当たり42円の配当を実施しました。
サッポログループでは事業ポートフォリオの整理による構造改革や海外事業の成長、コア事業の収益力強化に一層スピードをもって取り組むことでキャッシュ創出力強化と資本効率の向上を進めていきます。 そして、持続的成長と中長期的な企業価値向上を実現し、ステークホルダーの皆様のご期待に応えてまいります。株主・投資家の皆様との有意義な対話に向けては、積極的な情報開示・情報発信により、対話の中味を深化し続ける努力をしてまいります。今後とも忌憚のないご意見、ご支援を賜りますようお願い申し上げます。
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