研究開発

チルドカップデザートのようなおいしさを缶飲料で実現した
『二層ゼリー製法』

カップデザートから着想

「二層ゼリー製法」の発想

チルド売り場で提供されているコーヒーゼリーなどのカップデザートの製造では、容器に固形のゼリー部分を充填した後にクリームやソースなどを別で充填する、2段階での充填が一般的です。しかし缶飲料の製造においては、充填スピードが非常に速いため、カップデザートのように固形と液体を2段階で充填することは難しく、また中性飲料においては缶に充填後に高温高圧のレトルト殺菌を行う必要があるため、固形を維持したり、固形と液体を分離した状態を保つことが非常に困難です。そのため、従来の一般的な缶入りデザート飲料では、中身全体が固形ゼリー状となっており、それをくずして流動化させて飲用する形態となっています。

一方で、チルドカップデザートはクリームやソースによってより本格的な味わいへと進化しており、従来の缶入りデザート飲料では本格的な味わいを追求することに限界を感じていました。缶入りデザート飲料でも、ゼリーにソースが絡み合う、あの本格的な味わいを実現したい。そのような想いで製法の研究開発をすすめたのが「二層ゼリー製法」です。

「二層ゼリー製法」とは

二層ゼリー製法

従来の一般的なデザート飲料においては、加熱殺菌した内溶液を充填する、もしくは内溶液を充填後にレトルト殺菌を行っており、内溶液が徐々に冷やされることで、ゼリー状に固まる製法となっています。

「二層ゼリー製法」では、容器に充填する時点では、一般的なデザート飲料と同様にすべての中身原料が混ざった内溶液を容器に充填して密封し、レトルト殺菌工程にて加圧加熱します。その後、常温にもどる段階で全体がゼリー状に固まってきますが、ソース部分が徐々に分離し、最終的にゼリー層とソース層に分かれます。これは、特殊なゲル化剤の組み合わせと配合量を調整することで、ゼリーの硬さと染み出す液体量の制御を、その他副原材料も適切にを使用することによって実現しており、特許を出願をして独自の製法として確立をしています。

「二層ゼリー製法」を採用した商品「JELEETS(ジェリーツ)」が好評

JELEETS(ジェリーツ)

この「二層ゼリー製法」を採用した商品が「JELEETS(ジェリーツ)」です。2018年3月に新発売した「JELEETS コーヒーゼリー」は、飲む直前に商品をふると、固形部のゼリー層が砕け、液部のソース層と混ざり合い、まるでコーヒーゼリーにクリームをかけたような味わいが楽しめます。同時に発売した「JELEETS 宇治抹茶ゼリー」や2018年9月に発売した「JELEETS プリンシェイク」でも、本格的な味わいをお楽しみいただけ、多くのお客様からも好意的なご意見をいただいています。

「JELEETS コーヒーゼリー」は缶コーヒーに変わる新しい楽しみ方としても認知され始めており、今後もこの製法を応用した新たな商品を提案しながら、新しい市場を形成していきたいと考えています。

担当研究者からのひとこと

ポッカサッポロ 研究開発本部 第二商品開発部 第二飲料開発グループ
兼松 祐二

注)所属は、掲載当時(2019年3月)のものです

写真:兼松 祐二

「二層ゼリー製法」は2009年に検討を開始し、構想後8年を経て発売に至っています。初めて工場でテスト生産を実施した際には、きれいに2層に分かれず失敗し、その解決策が見出せず一時開発をあきらめました。しかし、ポッカサッポロらしい他社には真似できない、お客様に驚きとおいしさを体感いただける商品をお届けしたいとの強い思いから、80回以上の試作検討を繰り返し発売に至っています。

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