水資源の保全
水の使用量と排水の適正管理
サッポログループは、水の使用量や発生する排水を適切に管理し、水資源の保全を推進しています。今後も、グループ全体で貴重な水資源の保全に取り組んでいきます。
サッポロビール
各工場では、ビール製造設備の洗浄・殺菌工程における水の使用の3Rとともに、排水量の削減、各所在地域の法令・条例などにもとづいた排水水質の適正管理に努めています。
用水処理フロー(概念図)


※2 工程用水:設備の洗浄などに使う用水です。
※3 中水処理は静岡工場の設備です。
水再利用状況
サッポロビール
サッポロビールでは、生産系の排水(工程に使用した水)を環境設備や機械冷却などの工程用途に再利用にし、用水使用量の削減に努めています。再利用率は約3~5%程度になります。
排水再利用システムの導入
サッポロビール静岡工場では2000年より、水資源の有効活用を図るため、河川に放流する排水を回収し再利用するシステムを導入しています。
回収した排水は逆浸透(RO)膜※ にて有機物などの汚れを除去し、冷却塔の補給水や汚泥脱水機の洗浄水など、生産以外の場所にて再利用しています。このシステムで回収される排水は、静岡工場で使用する水の1割程度を占めており、水資源の節約と有効活用につながっています。
※ 逆浸透(RO:Reverse Osmosis)膜 ろ過膜の一種で、水だけを通し、イオンや塩類など水以外の不純物は透過しない性質をもつ膜のこと。


サッポロ不動産開発
雑排水・厨房排水の再生利用
「恵比寿ガーデンプレイス」の施設内で発生した雑排水と厨房排水は、微生物による有機物の分解除去を行う流動担体生物膜処理設備等で中水として再生し、植栽への潅水やトイレの便器用の流し水などに再利用しています。

処理後の中水(写真中央)、
比較用の上水(写真右)

水リスクへの取り組み
水リスクの把握と排除
サッポログループでは、生産拠点で水を大量に使用していることや、世界中で生産される農産物を原料に用いているため、水リスクの把握と排除に努めています。
生産拠点における水リスク
水リスクについては、事業継続への影響を把握するため、世界資源研究所(WRI)が提供しているAqueductなどを活用し、サッポログループの国内外生産拠点地域のリスクを調査しています。Aqueductとは世界資源研究所WRI(World Resources Institute)が公開する世界の水リスクを緯度・経度から評価するツールです。各拠点地域の「Overall water risk(総合水リスク)」のリスク評価は以下の通りです。
水リスクレベル | 生産拠点数 |
---|---|
Low | 7 |
Low - Medium | 20 |
Medium - High | 0 |
High | 1 |
Extremely High | 0 |
サッポログループは、「Extremely High」と表示される地域を、「水不足や、洪水・渇水などの水リスクが総合的に高いエリア」として注視しています。2020年時点の生産拠点地域のリスクレベルでは「Extremely High」は無く、ベトナムのロンアン工場の地域のみが「High」に該当することがわかりました。この結果を踏まえて状況を確認するため、サッポログループのすべての生産拠点について、これまでの水リスク発生状況や今後の可能性などの実態調査を実施しました。事前事後の対応マニュアル整備、自治体や水道局とのコミュニケーション継続など、既に対策を講じている拠点もあります。ロンアン工場を含めて各生産拠点では継続的に水の効率的使用に努めております。今後も生産拠点については、定期的にAqueductなどを活用して水リスクの有無を把握していきます。そして、水リスクが高い生産拠点が判明した場合は、その拠点の状況に応じて対策を強化していきます。
原料調達における水リスク
水は、酒類や食品・飲料事業に欠かせない原料であるとともに、農産物の生育に必要であるため、農産物の生産地について、水リスクの評価を行っています。 今回は、基軸となるビール事業の主原料である大麦・ホップについて、主な調達先地域サプライヤー拠点を調査しました。その結果、総合水リスクで「Extremely High」に該当する拠点は無いことが分かりました。その他原料の調査については今後の課題として位置づけています。サプライヤーにはサステナビリティに関する調達ガイドラインを共有し、コミュニケーションを通じて安全・安心な調達に努めています。
水源を守る活動
サッポログループでは、宮城県七ヶ宿町の水と水源を守る活動に共感し、2009年より減農薬農法での米づくり体験など、さまざまな活動に従業員とその家族が参加しています。七ヶ宿の水はサッポロビール仙台工場の醸造用水の水源となっており、2009年から「七ヶ宿源流米ネットワーク」とともに田植えや稲刈り等を通して交流を行っています。


