サステナビリティ
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リスクマネジメント

リスクマネジメントに関する基本的な考え方

当社グループは、「リスク」を組織運営に影響を与える不確実性と定義し、グループを取巻く様々な経営リスクの発生を未然に防止するとともに、企業活動に重大な影響を及ぼすリスクが顕在化した場合には、発生時のリスク対策を適宜実施することで損失を最小限に抑えるなど、事業の継続的な維持・発展、及び社会からの信頼の確保に努めています。なお、企業活動に重大な影響を及ぼす脅威と機会の双方を考慮しながらリスクを適切に管理し、対処しています。

リスクマネジメント体制

当社グループは、リスクマネジメントの実効性を高めるために、エンタープライズリスクマネジメント(ERM)を導入しています。「グループ中長期成長戦略」の実現に向けて、グループ全体の経営リスクを把握し、戦略の遂行と経営目標の達成を阻害する可能性のある重要リスクを特定、影響度と発生可能性で評価し、対応計画を策定、対策の実行・モニタリングを実施することでリスクの低減化に取り組むなど、適切なリスク管理体制を構築し、運用しています。

当社は、代表取締役社長を委員長とし、当社のリスク担当役員をはじめ酒類や食品・飲料、不動産など事業会社のリスク担当役員等から構成される「グループリスクマネジメント委員会」を経営会議の諮問機関として設置し、グループの事業活動に重大な影響を与える重要リスクを一元的に管理しています。同委員会は、グループリスクマネジメント方針の立案やリスク情報の収集、リスク低減に向けた取組のほか、グループ会社への必要な指示や支援などリスクマネジメント活動の全般を統括しています。また、同委員会の下部組織であるサブコミッティーでは、各事業会社のリスク担当部署と連携しながらグループ及び各社の重要リスクの取組の推進と進捗状況のモニタリングを実施しています。これらの取組やグループにおける重要リスクについては、当社の経営会議において、確認の上、取締役会へ報告し、取締役会はこれらの報告を通じて、リスクマネジメントの有効性を監督しています。

なお、グループリスクマネジメント委員会は、サステナビリティに関連するリスクについては、「グループサステナビリティ委員会」と連携しながらリスクを管理しています。

※ 参照:コーポレートガバナンスの体制

グループリスクマネジメント体制図

グループリスクマネジメント体制図

事業等のリスク

事業の状況、経営の状況等に関する事項のうち、経営者が重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりです。各リスクについては、社内で定めた指標に基づき、グループとして影響度が大きいリスクを定量・定性の両面から総合的に評価し、影響度と発生可能性を「大」「中」「小」の3段階で評価しており、双方が「中」以上のリスク項目を重要リスクとしています。但し、以下は全てのリスクを網羅したものではなく、記載された項目以外のリスクの影響を将来的に受ける可能性があります。なお、当社グループの重要リスクに関する事項は、2024年度末現在において、当社グループが判断したものです。

グループ重要リスクのヒートマップ

グループ重要リスクのヒートマップ

グループ重要リスクへの対応

区分 項番 項目 リスク内容 実施中の主な取組み(対策) 影響度 発生可能性
戦略リスク(注)
1 事業ポートフォリオ 酒類事業を中核とした当社グループを取り巻く環境においては、国内及び海外の経済情勢やアルコールに対する社会の価値観、市場や事業環境の変化等に対して、事業やブランド、製品ポートフォリオの組み換えを柔軟に進めることができない場合、経営計画が未達となる可能性があります。また、事業ポートフォリオの強化を目指して買収・提携・協業した相手先の経営悪化や組織・事業について適切なガバナンス体制が構築できないことにより、当初予想していたシナジー効果を発揮できない場合、当社グループが当初想定していた成果を得られない可能性があります。加えて、買収・提携・協業した事業について、経営環境の悪化に伴う収益見通しの低下により減損損失が発生し、当社グループの業績や財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
  • 資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた資本収益性の分析を踏まえた定期的な事業ポートフォリオの見直し
  • 「中期経営計画(2023~26)」における、事業ポートフォリオの見直しと、各事業のポジショニングに沿った(成長・収益力強化・再編・事業整理)グループマネジメントの推進
  • ROIC を社内管理指標とし、事業別の WACC に基づいた事業継続判断基準の厳密化と、ROIC ツリーを用いた事業モニタリングの徹底
  • 2025年2月に発表の「グループ中長期成長戦略」に基づく「世界をフィールドに豊かなビール体験、顧客体験を創造する企業」に向けた各戦略の実行(特に事業ポートフォリオの観点ではアルコール・ノンアルコール分野における戦略的提携やM&Aの検討推進及び、これを支える事業持株会社制に向けた国内・海外2事業本部体制でのガバナンス強化等)
2 原材料等の調達 当社グループは、原材料の調達に関し、市況の悪化や為替の変動等により価格が上昇することがあります。また、気候変動や自然災害、地政学リスク等により必要数を確保できない、あるいは納期の遅延が発生するなど製造計画に影響が出ることがあります。それらが長期化した場合は、当社グループの業績や財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
  • 市況の最新情報収集強化、調達先の分散・多様化
  • 適正在庫の水準の維持、為替予約等
  • 各種調査機関等を活用した市場動向の把握
  • 原材料価格上昇の適切な価格転嫁
  • サプライチェーン全体での効率的な生産活動の促進
3 多様な人財の確保と育成 当社グループは、多様な人財の活躍を目指し、多様な価値観、新しい働き方に合わせた制度・環境を整備しておりますが、労働市場における人財獲得の競争激化、育成不足により、事業戦略上必要と特定した人財(経営、グローバル、DX・IT等)が十分に確保できない可能性があります。また、プレゼンティーイズムやエンゲージメントの悪化による生産性の低下や退職者の増加により人財不足となる可能性があります。加えて、企業競争力の低下や労働生産性の悪化に伴う収益力の低下により、当社グループの業績や財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
  • 人財ポートフォリオの明確化。育成だけに留まらず、外部からの登用も含め確保
  • 以下人財戦略における優先課題を実行
    ①多様性の促進
    ②社内外人財の流動的な活用
    ③経営人財育成
    ④スピードある成長に向けた積極投資
    ⑤エンゲージメント向上と健康促進
4 R&D 当社グループは、「おいしさ」と「健康」を基軸に、消費者ニーズや生活様式の変化に対応した価値を提供できる研究開発、商品提案を継続的に実施しておりますが、技術変革による事業環境の変化により、当社の製品や製造工程において強みを持つ技術が陳腐化し、競争優位性が失われる可能性があります。また、消費者嗜好の変化や技術革新、法改正、気候変動等によって予測できない事業環境の変化が起こり、市場における競争力が低下した場合は、グループの業績や財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
  • 「おいしさ」と「健康」を基軸に消費者の価値観やニーズ、生活様式の変化に対応した価値を提案する研究開発、商品提案
  • 市場動向の定期的な分析及び酒類・食品飲料事業におけるR&D戦略立案及び推進状況のモニタリング
  • 気候変動に対応した大麦やホップの育種
5 情報技術 当社グループは、成長戦略を支える施策として、DX・IT戦略の推進を行い、専門性の高い人財の確保や育成に努めておりますが、製品の販促にデータやデジタル技術を十分活用できないことで、当社製品の魅力を適格・迅速に顧客に伝達できず、シェア拡大の機会を失う可能性があります。また、業務プロセスにデータやデジタル技術を適切に活用できないことにより、業務効率性を改善できず、競争優位性が低下する可能性があります。加えて、グループ内において価値のあるデータを適切に収集・管理し、企業活動に有効活用できない場合は、機会損失や非効率が発生する可能性があります。
  • DX・IT戦略の推進体制の構築・運用
  • 組織・人財マネジメントの整備
  • 育成人財の活躍に向けた環境整備
  • データ基盤の構築・活用推進
  • 生成AIの有用性検証及び全社展開・活用推進
  • 全社員向けeラーニング、アセスメントの実施
  • 各事業におけるデジタルマーケティングの強化
  • データガバナンスの整備
6 アルコール関連問題 アルコールは人びとの生活に豊かさと潤いを与える一方で、過度の摂取による様々な健康問題や社会的影響が指摘されています。WHO(世界保健機関)では、「有害なアルコール使用を低減するための世界戦略」が採択され、日本においても「アルコール健康障害対策基本法」が施行されているなど、世界的に規制が一層強化されることが予想されます。また、近年では健康志向の高まりやニーズの多様化により、アルコールに対する消費者需要が縮小傾向にあり、その結果、当社グループの業績や財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
  • 「未成年者飲酒(※)」「妊産婦飲酒」「多量飲酒」「飲酒運転」等の不適切な飲酒撲滅に向けた「責任ある飲酒の推進」の啓発活動実施
  • アルコール関連問題に関係する自主ガイドラインに沿った事前審査の実施など、不適切な広告表現等の防止
  • 外食事業におけるアルコール飲料と清涼飲料水の誤飲防止策の実施
  • ノンアルコール商品、微アルコール商品の開発及び取組強化

(※) 日本では20歳未満(各国の法律による)

オペレーショナルリスク
7 製品・サービス品質 当社グループは、お客様への安全・安心な商品・サービスの提供を最優先課題とし、グループ各社の関係部門・部署に対して品質・食品安全管理、リスクマネジメント、リスクコミュニケーションに関する仕組みの維持及び啓発を実施する等、品質保証の取組を強化しております。しかしながら、製品・原料に係る品質及び表示の問題等が発生した場合は、製品回収、出荷停止、損害賠償等が発生する可能性があり、費用や時間を要するのみならず、ブランドイメージ下落、市場シェアの低下を招くことがあります。また、外食事業において、店舗等で食中毒が発生した場合は、一定期間の営業停止等を命ぜられるなど、当社グループの業績や財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
  • 「サッポログループの品質保証体系」及び「サッポログループ品質行動指針」を策定
  • グループ全体の品質保証を担当する組織として、サッポロビール社の品質保証部内にグループ品質保証グループを設置し、各社の品質保証活動のモニタリングを実施
  • 調達取引先や製造委託会社等への指導及び監査の実施
  • 事業内容や商品・サービスの特性に応じたグローバルな食品安全システム「GFSI(※1)ベンチマーク規格」、「HACCP(※2)」等に基づく管理体制を構築

(※1) GFSI(Global Food Safety Initiative)とは、世界の食品サプライチェーン全体における食品安全リスク低減を主な目的とした組織です。

(※2) HACCP(Hazard Analysis & Critical Control Point/危害要因分析・重要管理点)とは、国連食糧農業機関(FAO)と世界保健機関(WHO)の合同機関である食品規格 (コーデックス) 委員会から発表されています。

8 情報セキュリティ 当社グループは、事業活動において、様々なシステムを利用しており、多くの重要情報を取り扱っております。一方、企業を標的にしたサイバー攻撃は日々高度化・巧妙化しており、重要情報の改ざん、個人情報の流出、システム停止等が発生した場合は、当社の事業活動に支障を来し、グループの業績や財政状態に重大な影響を与える可能性があります。また、近年ではプライバシー保護や経済安全保障上の観点から各国における個人情報保護法やデータ保護規制等の改定、運用強化も進んでおり、企業には益々高度な情報管理が求められています。
  • 外部からの攻撃に対する多層的な防御・監視体制の構築
  • 外部診断の実施など情報システムの適切な管理体制の構築
  • ID・端末管理のルールの徹底、棚卸実施
  • 標的型攻撃メール訓練による従業員への啓発
  • 情報保護に関する従業員教育・啓発、法対応等、組織的な対応策の実施
9 大規模災害 近年は、国内外問わず世界各地において、地震などのリスクに加え、気候変動による豪雨や洪水等の自然災害リスクが高まっています。当社グループの事業拠点がある地域において、このような大規模な自然災害やパンデミック等が発生し、サプライチェーンの寸断やライフラインの遮断による事業活動の停止、事務所や工場など施設等の改修に係る多額の費用の発生など、当社グループの事業運営に重大な支障が生じた場合、また、事業活動の復旧に長期間を要した場合は、当社グループの業績や財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。
  • 事業継続マネジメント(BCM)構築及び事業継続計画(BCP)の更新
  • 備蓄・非常用電源・通信等の整備強化
  • システム障害対応、データバックアップ体制構築
  • 各種訓練・演習実施による災害対応意識向上のための啓発
財務・税務リスク
10 財務・税務 当社グループは、資金調達コストの低減などキャッシュフロー最適化に取り組んでいますが、為替変動による円換算損益の悪化や為替予約の失敗、また、金利変動による受取利息や支払利息の増減、金融資産や金融負債の価値増減等により損失を発生させる可能性があります。また、事業環境や収益性に鑑み、慎重な投資を実施しておりますが、将来、グループが保有する固定資産及び企業結合により取得したのれん等について、収益性の低下や市場価格の下落等により減損損失が発生する可能性があります。加えて、税制改正や得意先、投資先の信用リスク等に備えておりますが、税務当局からの指摘を受けた場合や、与信管理不足により貸倒れ損失が増加した場合は、当社グループの業績や財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
  • リスク回避または軽減を目的とした為替予約やスワップなどのデリバティブ取引や円建て取引の検討・実施
  • 金利環境等の変化を踏まえた資金の調達手段の検討と分散
  • 金融市場動向の継続的なモニタリング
  • グループの「投資基準」「事業撤退基準」に基づく投資判断の実施
  • 新規取引先の信用調査の実施、既存取引先のモニタリング
ESGリスク
11 環境 当社グループは、エネルギー使用量の削減や温室効果ガス排出量の削減などの気候変動の緩和策やプラスチック資源のリデュース・リサイクルのほか、廃棄物・食品ロス削減、水資源の保全など様々な環境に対する取組を実施していますが、さらなる気候変動の進行、法規制強化や新たな規制・政策等の導入により、法令遵守に係る追加コストや事業活動に影響が生じる可能性があります。また、気候変動に対応した原料育種などの取組も推進しておりますが、将来的な気候変動によって主要な原材料や必要な水資源が確保できない場合は、操業停止による機会損失が発生する可能性があります。加えて、当社が原因となる環境汚染や生態系破壊により、計画外の費用の発生や企業として社会の期待に十分に応えられず、企業価値の低下に繋がった場合は、グループの業績や財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
  • 「サッポログループ環境ビジョン2050」を策定し、「環境との調和」の実現に向けて、①脱炭素社会 ②循環型社会③自然共生社会を目指すべく取組を推進
  • 2019年5月の「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」の提言を踏まえた情報開示の実施
  • 温室効果ガスの排出削減(Sc3)
  • 森林破壊防止
  • 2024年「⾃然関連財務情報開⽰タスクフォース(TNFD)」開⽰提⾔の採⽤者「TNFD Adopter」へ登録し情報開示を実施
  • 気候変動に適応した新品種(大麦・ホップ)開発、大麦の窒素肥料の施肥最適化等
  • 水リスクへの対応、モニタリングの実施
  • プラスチック素材の削減
12 人権尊重 企業活動のグローバル化が進み、企業の人権に対する配慮や取組に対する社会からの関心が高まっています。当社グループは、「サッポログループ人権方針」に基づき、人種、民族、国籍、信条、性別、宗教、障がいの有無、性的指向、性自認などの理由によって不当に差別されることのない職場環境を確保しています。また、お取引企業様の協力のもと、人権への悪影響を防止し、人権尊重の取組を推進していますが、企業としての人権尊重に対する責任を果たせず、実際に人権侵害に対する問題等が顕在化した場合は、社会的信用が失われ、その結果、調達や生産、売上にも影響が出るなど事業の縮小や撤退などを余儀なくされる、また、法令違反に対する罰金や訴訟など経済的な制裁措置を受けるなど企業価値の低下に繋がり、グループの業績や財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
  • 国連「ビジネスと人権に関する指導原則」に基づき、人権デュー・ディリジェンスの仕組みを構築し、実施
  • 「サッポログループ人権方針」を策定し、本方針に沿った持続可能なサプライチェーンの構築
  • サステナビリティ重点課題の進捗モニタリングと適切な情報開示
  • 「サステナビリティ調達アンケート」やSedexを通じて、遵守状況の評価を実施
13 ガバナンス・コンプライアンス 当社は、「コーポレートガバナンスに関する基本方針」に基づき、持株会社体制のもとでグループ内における監督機能、業務執行機能及び監査機能を明確化し、経営における透明性の向上と経営目標の達成に向けた経営監視機能の強化に努めています。また、ガバナンス強化のため、「内部統制システム構築の基本方針」を定め、健全な企業経営を行うための体制、仕組みを構築・整備しています。しかしながら、将来的に事業環境や外部環境等の変化により、不測の事態が発生した場合は、通常の監視や統制が困難になる可能性があり、それによりガバナンスの実効性が低下するおそれがあります。ガバナンスの実効性の低下は、法令違反等のコンプライアンスのリスクに繋がる可能性があり、罰金や訴訟など経済的な制裁措置やレピュテーションリスクが生じるおそれがあります。その結果、企業価値が低下するなど当社グループの業績や財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
  • ガバナンスの実効性を確保するため、「コーポレートガバナンス・コード」を踏まえたモニタリング機能強化
  • 全役員、従業員を対象としたコンプライアンス研修等の実施によるコンプライアンス意識の浸透・向上
  • グループ全体でのガバナンスリスク低減を図るため、予防に重点を置いた取組の推進・強化
  • 最新の法規制情報をグループ全体に発信する体制を整備し、グループ各社が正確かつ迅速に法改正等に対応できる仕組みを構築

(注) 戦略リスクについては、それぞれ単独のリスクではなく、相互に連関したリスクであると認識しております。

海外の子会社の危機管理体制

海外の子会社においても、グループ企業行動憲章等規程を英訳し、傘下の海外子会社にて周知徹底を図っています。
また、「サッポログループ危機管理規程」に基づき、緊急事態の発生または緊急事態につながる恐れのある事実が判明した場合に、迅速かつ適正に対応するよう体制を構築しています。

※ 参考:グループ企業行動憲章英訳版より(冒頭箇所抜粋)

※ 参考:グループ企業行動憲章英訳版より(冒頭箇所抜粋)

品質リスクへの対応

食品企業の使命として、お客様への安全な商品提供を最優先課題とし、グループ各社の関係部門・部署に対してリスクマネジメント、リスクコミュニケーションに関する啓発・講習を実施するなど、品質リスクへの対応を強化しています。

(1) 事業会社の品質保証部門は、お客様または社員などから、食品の安全性、品質保証に関する通報・相談を受け付けた場合には、軽微なもの以外は、各社の危機管理組織(リスクマネジメント委員会など)にて対応を協議し、事実関係の調査を経たうえで、グループ品質保証担当部およびグループリスクマネジメント委員会(以下GRM委員会)事務局に報告します。

(2) 食品の安全性に関する品質保証案件は、発生初期段階での迅速かつ適切な対応や、早期にグループ内へ水平展開を図ることが極めて重要になることから、重大な事案である疑いがある場合は、事業会社の品質保証部門は、自社のリスク担当部と連携して、各社の危機管理組織を経ずに、直接グループ品質保証担当部およびGRM委員会事務局に速やかに報告することとしています。
その際、報告を受けたGRM委員会事務局は、GRM委員会委員長および委員長代行、常勤監査等委員等の委員会メンバーに報告を行い、グループ品質保証担当部は、事業会社の活動状況を把握し、各ブランドの価値が毀損することのないようにグループ各社を支援します。

情報漏えいリスクへの対応

サッポログループは、サッポログループ企業行動憲章に則り、サッポログループの財産である営業秘密に関し、適切な安全管理を実施してまいります。

営業秘密管理推進体制

サッポログループ全体の営業秘密管理活動を統制し、推進するために「グループ情報保護委員会」を設置します。また、横断的な営業秘密管理推進のため各事業会社に「推進事務局」を設置します。

事故や違反への対応

サッポログループは、営業秘密管理に関連する事故や違反が発生した際には、グループリスクマネジメント委員会を招集し、お客様の保護と社会的責任を優先して対応いたします。

営業秘密管理

サッポログループでは、営業秘密管理は経営管理のひとつと位置づけ営業秘密を把握し、適切に管理いたします。また、社員等の教育、および情報セキュリティ事故または違反への対処などの管理活動を実践し、営業秘密の情報セキュリティ管理を組織に定着させます。

物理環境の安全管理

建物・事務所などに、防犯・防災対策や入退出管理・監視などの必要な管理要件を定め安全管理を行います。

情報システムの安全管理

電子化された営業秘密を的確に保護し、かつ有効活用するため、電子データやファイルへのアクセス制限や暗号化、アクセス履歴の収集や監視、および不正プログラム対策などの情報システムのセキュリティ管理要件を定め安全管理を行います。

教育

サッポログループは、社内規定を周知し、営業秘密の取扱いや管理についての教育を継続して実施します。

継続的な改善

継続的な経営管理活動として、営業秘密管理が的確に実施され、必要な改善が実施されていることを確認していきます。

大規模災害を想定した対策

サッポログループでは、「グループ激甚災害対策規程」を定め、激甚災害発生に備え、とるべき基本方針や災害対策の概要、BCP(事業継続計画)策定に、継続的に取り組んでいます。

  • グループ災害対策本部:災害初動対応として、以下の事項に取り組む
    ①グループ社員の安否確認・被災状況など把握
    ②グループ拠点・建屋の被災状況を把握
    ③①と②をグループ内で共有。グループ各社はBCPを発動するかどうかを判断し、当社は必要に応じてその状況を対外的に発信する。
  • グループリスクマネジメント委員会:被災状況を把握した上で、グループBCPの発動の可否と、各社がBCPを発動する場合の支援を展開する。

※ 激甚災害…日本国内で発生した震度6弱以上の地震及びそれに伴う津波。もしくは、グループ災害対策本部長が指定した災害。

なおBCPは災害が発生した際の取り組みやその後の検証などを踏まえ、必要があれば適宜見直しております。

1. グループ内の活動として
①防災備蓄品の配備
グループの全拠点に、非常食や水、携帯トイレなど災害生活に必要な防災備蓄品を配備し、災害時の各自治体の施策と各社の事業に合わせた取り組みを進めています。
②グループ社員の安否と被災状況(家族・家屋)の把握と共有化
グループ共通の安否確認システム(インフォコム(株)が提供する「エマージェンシー・コール」)を用いて、すみやかに共有します。
③グループ拠点の建屋・設備の被災状況の把握と共有化
グループ共通の建屋状況報告システム(インフォコム(株)が提供する「BCPortal」)を用いて、各拠点の建屋・設備の被災状況をWEB上に入力することで、グループ全体の被災状況を集約・共有化します。
平時、両システムの入力訓練を定期的に実施し、激甚災害発生時に機動的に活動できるよう備えると共に、運用などの見直しを進めています。

2. 地域への活動として
恵比寿ガーデンプレイスを運営・管理するサッポロ不動産開発社では、渋谷区と「災害時における帰宅困難者支援に関する協定書」を締結しています。これに基づき、大規模地震が発生した際に、恵比寿ガーデンプレイス敷地内において帰宅困難者を受け入れる体制を整えており、渋谷区と連携し、恵比寿エリアの企業も含め定期的に受入訓練等を実施しています。
他のグループ会社においても、災害時の物資等の供給に関する協定を地方公共団体と締結するなど、社会・地域貢献に向けた取り組みを進めています。

また、事業会社(サッポロビール社、ポッカサッポロフード&ビバレッジ社、サッポロライオン社、サッポロ不動産開発社)は、それぞれの事業特性を踏まえ、BCP策定に継続的に取り組んでいます。

激甚災害発災時の3つの基本方針(グループ激甚災害対策規程より)

激甚災害発災時の3つの基本方針(グループ激甚災害対策規程より)

グループ共通の安否確認システム(「エマージェンシーコール」)

グループ共通の安否確認システム(「エマージェンシーコール」)

拠点の建屋状況報告システム(「BCPortal」)

拠点の建屋状況報告システム(「BCPortal」)

ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)への対応

サッポログループでは、従業員がSNS等ネット上に不適切な発言をしたり、企業が行った情報開示やお客様への対応等が不適切であった場合、その評価がネット社会に大きな波紋として広がり、ひいてはステークホルダーからの信頼を大きく損ねることになりかねないことを認識し、グループ従業員に対しSNS個人使用上の注意事項について啓発を行うとともに、ネット情報のモニタリングを行う等、適切な対応を行えるよう体制を構築しております。

  • グループ社員への啓発
    SNS利用上の注意点として、以下の徹底を図っています。
    (1) 公開情報のみ扱うこと
    (2) 発言・投稿は、個人の責任で行うこと
    (3) 透明性のある発言を行い、他社・他者の誹謗中傷と受け取られるような発言はしないこと
    (4) 自他のプライバシーを尊重すること
    (5) 勤務時間中の私的な利用はしないこと
  • ネット監視体制
    サッポロホールディングスの総務部に専門チームを設置し、グループに関連する情報の掲載内容についてモニタリングを行っています。
    また平日夜間および休日も、外部に業務委託し、モニタリングを行っています。万一、就業時間外に、グループに関連する情報が拡散・炎上する事案が発生した場合は、速やかに関係部署・関係者で情報共有し、適切に対応できるよう体制を構築しています。
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